サマータイム(ジャズの名曲をイメージして)




夏の昼下がり
ニューオリンズ町外れの
小さな古い家
男がロッキングチェアに
ギターを抱えて座ってる
白髪交じりの
深い皺の男は
時おりタバコをふかす
煙がむっとした空気に
溶け込んでいく
男は何時間も
煙の行方を
見ている
そうやって
毎日を過ごすのだ
若いころ
男も野心にあふれ
夢を求めて
都会を歩き回った
希望はコンクリートの壁に
当たって砕け散った
男もかつて恋をした
恋人の面影が浮かび
いまだ未練が
顔に漂う
男はギターを
爪弾きはじめた
サマータイムのメロディが
暑苦しい
空気にしみこんだ
やるせない時が
流れてゆく
やがて男の古い家にも
日が傾き夏の夕暮れ
が訪れはじめた
男は自由に空高く飛ぶ
一羽の鳥に目をやり
ゆっくりとギターを抱え
家に入っていった
詩人 ゲーテラスカル

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